CTなんて1週間毎日撮ったって大丈夫!ってことなの? そんなのおかしいでしょう。

しばらく更新が滞っていました。最近は仕事が忙しくてどうにもなりません。

しかし世間は待ったなしで動いていきますね。震災から一年になろうとしていますが問題は未だに山積です。


特にこの一年、私が医師として最も頭を悩ませてきたのが「放射能」の問題です。


「医師として」と言うとなんだか当たらないのかもしれません。私の原子力放射線医学の知識など所謂専門家の先生方に比すればどれほどのものでもありません。しかし「所謂専門家」の先生方の言い、世に発信しているご説を拝見いたしますとその多くが今の私には納得のいかないことが多いのです。

私のような医師でも研修医時代には先輩先生方からいろいろ教え込まれたものです。

レントゲン検査をする時には妊娠の有無を必ず確認せよ! というのはもうその頃には「鉄則」のように言われていたことです。それと同じように、お子さんに放射線をかける(検査をする)時には生殖器など防護すべきは防護せよ! とも言われました。

レントゲン検査は1枚で50〜100マイクロシーベルト程の被曝があると言われます。

実際にうちの診療所のレントゲンの機械で患者さんの立つ位置に線量計を置いて測ると、レントゲンの撮影ボタンを押した瞬間に数字が100まで跳ね上がります。その線量計も、普段家などに置いてある状況では0.07マイクロシーベルト(1時間)という値を示しています。

実際には道東、北見近辺の空間の放射線の強さは0.03マイクロシーベルトくらいです。

若干の影響があるにしても福島の原発からの距離や地形などを考えますと道東では原発事故以前とほとんど変わらない放射能の環境が維持されていると言えるのではないでしょうか。

しかし福島や関東近県の測定値を見ると北見の10倍(それでも0.3マイクロシーベルト毎時)くらいある場所があります。飯舘村のようなすごいところですと0.3どころか北見の100倍!(3マイクロシーベルト毎時)という場所すらあるようです。


仮に「3マイクロ」ということならば、そこに30〜40時間いればもうレントゲン写真を1枚撮ったのと同じ被曝になるということです。


そこで考えるのですが、

「2〜3日そこにいただけでレントゲン写真を1枚撮るのと同じ」

という場所があるとして、じゃあそれならば。

うるさく僕に基本を教え込んだ先輩医師たちが正しいのならば、そういう場所では当然、

「妊婦さんはいませんよね?」

「子供はみな放射線防護用の鉛ベストを毎日腰に巻いて生活してますよね?」



・・・

どうでしょうか?


具体的には「2〜3日でレントゲン1枚」なんてスポットは福島ではざらに存在するでしょう。じゃあそういう場所の現実はどうなのかと言えば、

「いやいや妊婦さんもいますよ。」

「子供たち、元気に学校へ行っていますよ。」

と、これが現実なのです。




じゃあ、それが正しいのならば我々医師が先輩医師から学んできたことは、

「 す べ て ウ ソ っ ぱ ち 」

ということではないでしょうか?


なので、福島医大の山下、東大の中川、札医大の高田などのいう「ぜんぜんだいじょうぶ」説が正しいとするのならば、我々医師は何も心配することなく妊婦さんのレントゲン写真を毎日のようにとりまくり、子供も大人同様何を気にすることもなく下半身のレントゲン写真などもとりまくれるのです。


全国の先生方!

意識革命の時が来たのです!

今やレントゲン検査、CTスキャンなども「危険だ」などという変な先入観は捨てても大丈夫な時代が来たのです。これまでの古い概念に囚われるのはやめようではないですか!

10日間CTスキャンを撮り続けたってまだ60ミリシーベルトです。山下大先生は「100ミリシーベルトだって大丈夫」って言ってるのですからCTを1週間撮り続けたって全然平気!


気にせずやってくださいよ。


それにレントゲン検査の部屋。

あれいらないじゃない。

なんで安全なのにわざわざ隔離部屋みたいの作る必要があるんでしょうか?

たかだか100マイクロでしょう?

待合室でレントゲン撮ることにしたっていいじゃないですか。

中川大先生が大丈夫って言ってるんですから。




・・・・・。


さて、そういう意識革命を起こそうと思えば起こせる現在の状況です。「安全だ」ということがもはやまかり通ってしまっているので見方を180度変えることだってできてしまうのです。


しかし、医者は果たして「安全だ」と言ってすべてを変えるでしょうか?


僕は「それはない」、と思います。


それでも多くの医者はレントゲンを撮る時はこれまで通り妊婦・子どもに気を使うということをやめることはないでしょう。それは多くの医者がX線の「未知の危険」というものを少なからず意識しているからです。


どの医者も放射線が正確にどれくらいでどのくらいの影響を及ぼすのか分かっていないし、特に妊婦や胎児、幼児などには「絶対影響がない」などとはどうあっても言えないと誰もが内心では分かっているのです。



しかし今の世の中はどうもおかしくなってきているようです。

医者でもない人たちが特に何を考えたからではなく、「偉い人がそう言ったから」などという理由で「安全。大丈夫。」という説を丸のみして信じてしまっています。

同時に医者であっても、「絶対危険だ」と激しく警鐘を鳴らすという人もほとんどいません。それはどんなに偉い先生であってもこと放射能に関しては「本当に正しいこと」を分かっている人が皆無であり、それゆえ自信を持って「100%危険」を主張し通すことが誰ひとりできないからです。


だから唯一確かなことと言えば、

「安全だ、というのも100%と言いきれない。それは『分からない』から。」

「危険だ、というのも100%と言いきれない。それは『分からない』から。」

だから現時点で100%正しい真実はひとつだけ、


「どっちか分からない」


ということだけ


という結論にならざるを得ないでしょう。



分からないのではどうしようもないように思えますが、それでも我々が自分自身や家族の身の安全を本気で考えるなら答えは自ずから見えてくるのではないでしょうか?


「分からない」という状況で「じゃあ多分安全だろう」と考えるリスクと、
「分からない」という状況で「じゃあ多分危険だろう」と考えるリスクのどちらが結局自分や家族を守るのかと考えてみるとこれは当然後者しかないことになります。

「危険だろう」で危険でなかったら笑い話ですみますが、
「安全だろう」で安全でなかったらほぼ100%深刻なリスクをその時点で背負い込んでしまうことになりますから。




医者は人の健康・生命をまじめに考えて、守り、救うのが仕事・使命です。


他の人間がどうであっても医者だけは健康・生命のリスクに関して誰よりも真面目に考えなければならないのではないでしょうか?

そういう意味で、今回の原発事故で放射能に関して「安全サイド」に立っている医師は、リスクへの対処の姿勢という点においてまったくの「医師失格」であると言わざるを得ないでしょう。


山下氏、中川氏、高田氏などは地位・名誉が誰より高かったとしても「医師として」は一介の診療所の医師である私にも劣る情けない医師である(医師と言ってよいのかどうかも疑問だが)と断じるしかありませんね。


ひどいものです。

放射線被曝から身をまもる 〜 簡易的に自分の内部被ばくをコントロールしよう

放射線から身をまもる簡単な原則
年間1mSvの達成のための1日被曝許容限界は約「2.7μSv」
さて、この「1日2.7μSv」ですが、厳密に言うなら放射性物質を吸い込む吸入による内部被ばく、そして外部の線源(飛散した放射性物質などによる)からの外部被曝、そうしたものもひっくるめないといけません。しかし、相当空間線量の高いところでもない限り、吸入も含めて外部被曝が大きくなることはなく(北見は0.03μSv前後ですから)今後は食べ物からの内部被ばくに備えることがなにより重要と考えます。そして年間の基準は諸説あるのですがやはり「年間1mSv」が守られるのであれば様々入り乱れている学説・学派の方でも納得できるはずですから、「年間1mSv、すなわち1日2.7μSv」をまずは目標にしてみるのが最善だと思います。以下のように簡易的に自分の今日食べた、あるいは食べる予定の食べ物から体に取り込まれた放射性物質の量を調べてみましょう。これ以外に自然放射線などの被曝もあるとは思いますが、ここではあえて簡略化するために、とにかく「取り込む放射性物質の量」をなんとか「1mSv」におさえることを目指すべきでしょう。



※簡単な被曝の算出の仕方 → 「食品中の放射性物質の検査結果」のうち「検査結果(PDF:○○KB)」と書いてあるリンクをクリックすると詳細な表が出てきます。地域の近くである程度高く出たところのみをチェックすれば十分ではないでしょうか。北海道だと根室・釧路のサンマくらいでしょうか。そして「ベクレル、シーベルト計算・換算」サイトに必要な項目を入力すれば(だいたいセシウム134とセシウム137の両方の数字があるはずです)上の「預託実効線量」のところに内部被ばくの量が表示されるはずです。食べ物の1度に食べる量は意外と分からないことが多いので、「食品のカロリー − グラムのわかる写真館」サイトでおおまかな量の推定が見た目から分かるはずです。

実際計算してみると分かりますが、2ケタくらいの食品ですと目標の「1日2.7μSv」を達成するのは造作もないことです。しかしながら仮に規制値(500ベクレル/kg)ぎりぎりでパスしたようなお米を200g(1食)食べる場合ですと(セシウム134、137とも500ベクレル/kgと仮定)3食でごはんだけで「3.9μSv」となり少し足が出てしまいますね。そういう意味では「500ベクレル/kg」という基準の設定はもう少し考えなければならないのかもしれません。

また、「食品中の放射性物質の検査結果」の中に自分の食べるものが載っていない場合、あえてそれを計算する必要はないと思います。おそらくは表中に載っていないものは0.いくつとかの無視できる範囲であると考えられますので(そう信じるしかないですよね)。

そして一番大事なことは、まめにデータをチェックすることである程度は「あのあたりのあの食べ物がどうやら注意すべきなのだ」ということを常に意識するようになれることでしょう。計算してみると分かりますが、すべての食材が不安だらけというわけではありません。放射能はもう待ったなしで我々の目の前にあります。だからこれからは我々も反転攻勢、こちらから積極的に立ち向かっていかなくてはなりません。


<簡単早見> ※1日食事から2.7μSv(1食あたり0.9μSv)を限度として計算
1食で食べる量
 200g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら3.2μSv× 50Bq/kgなら0.32μSv○
 150g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら2.4μSv× 50Bq/kgなら0.24μSv○
 100g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら1.6μSv× 50Bq/kgなら0.16μSv○
 050g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら0.8μSv△ 50Bq/kgなら0.08μSv○
 040g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら0.64μSv△ 50Bq/kgなら0.06μSv○
 030g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら0.48μSv△ 50Bq/kgなら0.05μSv○
 020g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら0.32μSv△ 50Bq/kgなら0.03μSv○
 010g → Cs134、Cs137共に500Bq/kgなら0.16μSv○ 50Bq/kgなら0.02μSv○ 


ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON

食品のカロリー − グラムのわかる写真館
http://www.eiyoukeisan.com/calorie/gramphoto/index_gram.html
牛丼屋の肉の量比較
http://d.hatena.ne.jp/nekoneko/20100128/p1
お茶の場合、茶葉の50%分の放射性物質を体内に取り込むという計算?になっている(真偽不明)
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/documents/ocha-panfu230802.pdf




☆以下、厚生省のデータを随時アップします。赤くなっているデータは計算したうえで1食あたり0.9μSv以上となる可能性のある食物です。

食品中の放射性物質の検査結果について(第267報)12月8日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001xm33.html
    ※暫定規制値超過
     福島県伊達市(旧富成村)産玄米(Cs:1,240 Bq/kg)
     福島県伊達市(旧柱沢村)産玄米(Cs:580 Bq/kg)

    ※暫定規制値超過
     No.49:相馬市産キウイフルーツ(Cs:560 Bq/kg)
     No.50:相馬市産キウイフルーツ(Cs:590 Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第266報)12月7日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001xhz8.html
    ※暫定規制値超過
     福島県二本松市(旧渋川村)産玄米(Cs:780 Bq/kg)
     福島県福島市(旧小国村)産玄米(Cs:530〜1,260 Bq/kg)

    ※暫定規制値超過
     No.39:いわき市産エゾイソアイナメ(Cs:900 Bq/kg)
  No.42:いわき市産コモンカスベ(Cs:560Bq/kg)
  No.68:広野町産コモンカスベ(Cs:540Bq/kg)



食品中の放射性物質の検査結果について(第265報)12月6日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001xcb5.html
    ※暫定規制値超過
     No.25:二本松市産乾燥ドクダミ(Cs:1,640 Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第264報)12月5日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001x6kr.html
    ※暫定規制値超過
     No.19:岩手県産クマ肉(Cs:600 Bq/kg)
     No.1,157:群馬県産乾シイタケ(Cs:1,433 Bq/kg)
     No.1,159:群馬県産乾シイタケ(Cs:563 Bq/kg)
     No.1,160:群馬県産乾シイタケ(Cs:520 Bq/kg)
     No.1,161:群馬県産乾シイタケ(Cs:1,519 Bq/kg)
     No.1,164:群馬県産乾シイタケ(Cs:718 Bq/kg)
     No.1,165:群馬県産乾シイタケ(Cs:825 Bq/kg)
     No.1,166:群馬県産乾シイタケ(Cs:2,867 Bq/kg)
     No.1,168:群馬県産乾シイタケ(Cs:788 Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第263報)12月3日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001x0xz.html
  ※ 暫定規制値超過
     No.1:岩手県産牛肉(Cs:738Bq/kg)
     No.2:岩手県産牛肉(Cs:586Bq/kg)

食品中の放射性物質の検査結果について(第262報)12月2日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001x0hg.html
    ※暫定規制値超過
     福島県福島市(旧福島市)産玄米(Cs:510〜590Bq/kg)
     ・福島県福島市(旧小国村)産玄米(Cs:580〜1,100Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第260報)11月30日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001wqvd.html
    ※暫定規制値超過
     No.161:栃木県産乾シイタケ(Cs:6,940Bq/kg)
     No.162:栃木県産乾シイタケ(Cs:1,723Bq/kg)
     No.163:栃木県産乾シイタケ(Cs:2,318Bq/kg)
     No.164:栃木県産乾シイタケ(Cs:949Bq/kg)
     No.166:栃木県産乾シイタケ(Cs:1,214Bq/kg)
     No.167:栃木県産乾シイタケ(Cs:782Bq/kg)
     No.315:福島県産牛肉(Cs:742Bq/kg)
    ※暫定規制値超過
     No.3:いわき市アイナメ(Cs:1,780Bq/kg)
     No.5:いわき市産イシガレイ(Cs:590Bq/kg)
     No.11:いわき市産コモンカスベ(Cs:1,150Bq/kg)
     No.12:いわき市産コモンカスベ(Cs:540Bq/kg)
     No.13:いわき市シロメバル(Cs:950Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第259報)11月29日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001wlek.html
    ※暫定規制値超過
     No.805:群馬県産ワカサギ(Cs:556Bq/kg)
     No.806:群馬県産ワカサギ(Cs:533Bq/kg)
     No.807:群馬県産ウグイ(Cs:659Bq/kg)
     No.808:群馬県イワナ(Cs:692Bq/kg)

     No.980:静岡県産乾シイタケ(Cs:572Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第258報)11月28日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001wbeo.html
※ 暫定規制値超過:福島県伊達市(旧小国村)産玄米(Cs:580〜780Bq/kg)
          福島県伊達市(旧月舘町)産玄米(Cs:1,050Bq/kg)
          福島県福島市(旧小国村)産玄米(Cs:710〜1,020Bq/kg)
   ※暫定規制値超過
    No.6:二本松市産イノシシ(Cs:617Bq/kg)
    No.7:二本松市産イノシシ(Cs:1,580Bq/kg)
    No.8:二本松市産イノシシ(Cs:534Bq/kg)
    No.10:須賀川市産イノシシ(Cs:650Bq/kg)
    No.11:白河市産イノシシ(Cs:943Bq/kg)
    No.12:白河市産イノシシ(Cs:1,260Bq/kg)
    No.13:相馬市産イノシシ(Cs:678Bq/kg)
    No.14:西郷村ツキノワグマ(Cs:737Bq/kg)
    No.21:いわき市産ヤマドリ(Cs:736Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第257報)11月27日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001wa8t.html


食品中の放射性物質の検査結果について(第256報)11月25日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001w8qq.html
    ※暫定規制値超過:福島市大波地区(旧小国村)産玄米(Cs:540〜1,270Bq/kg)
    ※暫定規制値超過
     No.958:栃木県矢板市産乾しいたけ(Cs:2,400Bq/kg)
     No.959:栃木県茂木町産乾しいたけ(Cs:1,200Bq/kg)
     No.960:栃木県佐野市産乾しいたけ(Cs:1,100Bq/kg)


食品中の放射性物質の検査結果について(第255報)11月24日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001w3wm.html

食品中の放射性物質の検査結果について(第254報)11月23日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001w1md.html
   ※暫定規制値超過
     No.36:白河市産乾しいたけ(Cs:1,720Bq/kg)
     No.37:二本松市産乾しいたけ(Cs:2,900Bq/kg)
     No.38:二本松市産乾しいたけ(Cs:4,900Bq/kg)
     No.39:本宮市産乾しいたけ(Cs:1,700Bq/kg)
     No.45:棚倉町産乾しいたけ(Cs:1,000Bq/kg)
     No.46:会津若松市で製造・加工された乾燥めぐすりの木(Cs:710Bq/kg)

食品中の放射性物質の検査結果について(第253報)11月23日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001w0gx.html

食品中の放射性物質の検査結果について(第252報)11月21日http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001vvhc.html
    ※暫定規制値超過
     No.77:二本松市産イノシシ肉(Cs:14,600Bq/kg)
     No.78:二本松市産イノシシ肉(Cs:2,620Bq/kg)
     No.79:二本松市産イノシシ肉(Cs:878Bq/kg)
     No.80:二本松市産イノシシ肉(Cs:1,560Bq/kg)
     No.81:二本松市産イノシシ肉(Cs:699Bq/kg)
     No.82:二本松市産イノシシ肉(Cs:1,010Bq/kg)
     No.83:二本松市産イノシシ肉(Cs:693Bq/kg)
     No.84:南相馬市産イノシシ肉(Cs:3,720Bq/kg)




その他放射線被曝関連リンク
安定ヨウ素剤取り扱いマニュアル
http://www.remnet.jp/lecture/b03_03/b03_03.pdf

TPPで変わる医療?  アメリカの新しい国民皆保険制度

去年の3月のこと。

アメリカの国民皆保険制度についてオバマ大統領の公約でもあった新しい制度が成立。

だけど、その内容たるや「公的」とは呼べないものだったようです。


今回TPPによって日本の医療が変わるという懸念があります。

その大きな不安要素の一つが、日本の医療でも今の国民の保険制度がアメリカと同じようになってしまうのではないか、というものだと思うのです。

僕自身も今回TPPの話が大きくなって初めてそうした不安・疑問を持ち始めたというお恥ずかしい限りの話なのですが、いずれにせよこの話は非常に不透明で、はっきりしたことは誰にも分からないのではないかというくらい混乱している現状です。

今回のTPPでいろいろ勉強していくと、必ず1回はこの「アメリカの保険事情」というのにぶつかると思います。

それでそれを論じ始めると、多くの人がマイケル・ムーア監督の「シッコ(Sicko)」という映画のことを目にし耳にすると思います。

これは公開当初から話題になっていたし医療関係者も常識的レベルとしてもうご覧になった方も多いのではないでしょうか。


しかしこれもまた恥ずかしながら僕は昨日全編を通して初めて見ました。

非常にショックを受けました。このインパクトは相当なものです。日本がこうなってしまうということもそうですが、なんというか、「人として」このアメリカの悲惨な現状に悲しみを感じます。

それに比べて財源などの問題があるにせよ欧米各国の皆保険制度はアメリカとは雲泥の差、というところもまた、強いインパクトがありました。

マイケル・ムーア監督は、意図してかどうか不明ですが日本の制度については何も入れていませんでした。

しかしながらアメリカの現状に比較した場合、多くの日本人が「日本にいて良かった」と感じるはずです。


さて、アメリカの新しい制度ですが、2014年あたりから実施されるようです。

以下のサイトの方がすばらしく詳しく解説されておられますので見てください。



http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2010/03/post-6a13.html

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オバマ政権最大の政治課題のひとつ、米医療保険制度改革法案が成立へ
2010/03/22
2010年3月21日午後9時過ぎ(日本時間2010年3月22日正午過ぎ)、米国下院議会で民主党が推し進めてきた医療保険制度改革法案が、賛成219対反対212で可決された。このところ公約破りをずっと批判されつづけてきたオバマ大統領は久しぶりに「これこそ変革の成果」と胸を張って見せた。下院では民主党議員らが歓喜の声を挙げ「Yes, we can!」などと合唱している。

日本のような国民皆保険制度が存在せず、国民の4,600万人が民間の医療保険に加入できない無保険者で、年間4万4,000人が医療保険未加入により医者にかかれず死亡する。そんな医療後進国アメリカで、医療保険加入率を9割まで上げようという法律を成立させようというのだから、今回の法案成立はたしかに民主党にとって歴史的快挙だろう。90年代にクリントン政権が躓いた医療制度改革を、ようやくスタート地点までもってくることができたのだ。

しかし今回の「医療制度改革」法案の中身はといえば、先進国並みの医療制度を求める多くのアメリカ人にとっては、ゼロよりマシという程度のもので、あまりにも期待はずれなのだ。

今回の医療保険改革法案の骨子を非常に単純にまとめると、現在民間の医療保険に加入できない米国民の大半を、税金を使って民間の医療保険に強制加入させるというものだ。これにより、新たに3,200万人が民間医療保険業界の顧客になれるということだ。つまり基本的には、米国医療保険業界のマーケティングのために国民の税金を支出することになる。

マイケル・ムーアが映画『シッコ』で指摘したように、米医療問題の最大の原因は既存の米医療保険業界の体質にある。したがって今回の医療制度改革の草案がスタートした頃、既存の民間医療保険業界に対抗できる公設の医療保険組織の設立を求める声が多くあがり、最初の下院法案では「パブリックオプション」という呼称で提案されていた。

当然ながら、パブリックオプションに強硬に反対したのが医療保険業界。さっそく大量のロビイストを議会に送り込み、公設医療保険というアイデアを議会から排除させてしまった。ホワイトハウスの提示した法案にも、上院の法案にも公設医療保険案は含まれなくなった。この時点で、抜本的な米医療改革を望む声は完全に無視されてしまった。

そんなわけで、今回の上院の医療制度改革法案に反対する声は、リベラル派と保守派の双方から沸き起こった。リベラル派は、税金を使って腐敗した民間医療保険業界の市場拡大を助けるなど言語道断であり、せめて公設医療保険組織を成立させて民間と価格・サービス面で競争させるべきだという主張が大半。反対に保守派からは、政府が国民の自由を奪って保険に強制加入させるとは合衆国の精神に反しており、また民間医療保険業界に対する政府の規制強化は市場の自由という原則に反するとの批判、さらに医療制度改革のために巨額の公金投入で財政赤字が拡大するという批判が大半だ。

さらに話をややこしくしたのが、妊娠中絶問題である。民主・共和という党派制を超えて、妊娠中絶に医療保険を適用するなら法案に反対というポジションの議員も多かった。この問題については法案では明確さを確保せず、オバマ大統領が「中絶費用に公的資金を支出しない」と特別命令を出すということで決着したようだ。

ところで、今回の医療制度改革法の可決により、どれくらいの医療問題が解決されるのか?実は法案の中身が実行されるのは2014年あたりからで、しかも必要とされる公的資金がどれくらい膨れあがるのか、ホントのところかなりいいかげんな見積もりしかされていないらしいので、今後の展開によってはまた事態がひっくり返るかもしれない。なにしろ今年は中間選挙があり、2012年にはオバマ大統領の再選が控えている。民主党のリベラル派議員たちは今回の法案採決に渋々ながら賛成したが、新法施行前にパブリックオプションを含めるよう今後も活動する様子だ。反対に共和党及び保守派支持層は、中間選挙で巻き返しを図り、うまくいけばオバマ再選を阻む強力な草の根運動を展開していくだろう。そして民間医療保険業界は相変わらずロビー活動を強化し、新制度による業界規制強化を骨抜きにしていくだろう。金融業界が連邦政府、議会等の規制をロビー活動で骨抜きにしてきたように。


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これを読むと分かる通り、「改革」がなされたとはいえ、その実はやはり民間の大手保険会社が牛耳る、患者さん無視の経済至上主義だと言えます。

総理がいかに「国民皆保険が聖域、堅持する」と綺麗事を並べたとしてもそんなことをすべてまるごと信じる国民もそれほど多くはないのではないでしょうか?


実際に混合診療が解禁になり、自由診療の比率が高まって行くであろうとはいえ、それで国民皆保険が突然崩壊するような事態にはならないのかもしれません。しかし、このアメリカで起こっている経済至上主義的な医療改悪は、少しずつじわじわと日本の国内にも浸透していくと思われます。

始めから切り替えて皆保険が消滅するならだれも賛成などしないし皆が反対してTPPはつぶれるでしょう。

しかし怖いのは、「何でもない」と見せかけておいてTPPに賛成させ、その後じわじわと外堀を埋めるように改悪が行われていくことなのではないでしょうか?



日本の未来の姿として、マイケル・ムーア監督の「シッコ」は一度見ておくことをお勧めします。

Sicko(1) http://www.veoh.com/watch/v151098653bRXeBWH
Sicko(2) http://www.veoh.com/watch/v151112446APNwfmZ
Sicko(3) http://www.veoh.com/watch/v15111564tgbQKDey
(※Veohを見るにはウェブプレイヤーが必要です http://www.veoh.com/download )

インフルエンザワクチンの増量について。本当にこの予防接種、効果があるのか?

インフルエンザのワクチン接種量の増量について。


今回インフルエンザワクチンの量は、

〜2歳 → これまでは1回「0.1〜0.2ml」だったのが1回「0.25ml」へ増えた。
3歳〜 → これまでは1回「0.3ml」だったのが1回「0.50ml」へ増えた。

というのがおおざっぱな変更点です。


なぜ増量?

それについて少し考えてみます。


前にも書いたとおり、インフルエンザワクチンは「あんまり効かない」というのがほぼ全医療関係者の共通にもつ印象だったようです。患者さんの中にも、「なんか変だなあ」と感じている方は多かったと思います。

それでもお医者さんはがんばって「効く効かないは個人差もある」とか「かかっても軽くすむ」とか苦しい言い訳を続けていたわけです。でも内心ではやっぱり「なんか効かないなあ」と思っていたのは必ずあったと思います。


そこでやっぱり考える人は考えるわけで、「なぜ効かないのか」と考えたすえに、見つけた一つの仮説が「量が少ないからだ」ということだったんだと思います。

それを後押しするようにWHOや欧米の流れとして、「ワクチンの効果を出すための適正な量」というのを、正に上で書いた0.25ml、0.5mlと設定し、それを推奨する説が主流となっていたのです。


その量が真に適切であるという根拠を裏付けるものがなんなのか、僕は不勉強なので分かりませんが、いずれにせよ「ワクチン推進派」にしてみたら格好の援護射撃になったわけです。


「これまでは量が少なかったからだ」と言えば、もうそれは魔法の呪文のようなもので、確かにこれまで効かなかったことをすべてそのせいにできることになります。

それにもう一つ良いことは、じゃあ0.5mlにしたらどうなるのか、というのは「やってみなければ分からない」わけで、少なくとも増量あるいはワクチンそのものに懐疑的あるいは反対の立場の人間がいたとしても未知ゆえにそれら反論をうまく封じ込めることができるわけですよね。


ただ問題が一つあるとすれば、増量に際しての「臨床実験」でしょう。いかになんでも何もせずに「明日から量を増やします」とはなりません。ある程度の期間の臨床試験を行って本当に効果が上がるのかどうなのか証明しなければなりません。


それをやったのが2009年に中間報告が出たという、「独立行政法人国立病院機構(長すぎだっての)による臨床試験」でした。


結果はどうだったかというと、


「増量することで有効率が明らかに上がった」


という「結論」だったとのことです。


これは共同通信などに詳しいのですが、「機構の8病院において、360人の患者で臨床試験を行った結果」でした。
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009122801000807.html

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子どもの接種用量見直しへ インフルエンザワクチン
子どもに対する現行のインフルエンザワクチンの接種用量では効果が低い
との指摘を受け、世界保健機関(WHO)推奨の、より多い用量のワクチンの
効果と安全性を調べるために独立行政法人国立病院機構が実施した臨床試験
中間報告が28日まとまった。
 試験では6カ月以上3歳未満では一定の効果が期待できるとの結果が出た。
今後さらに解析を進め、来年3月にも用量を変更する申請が出される見通し。
 試験は国立病院機構の全国八つの医療機関で、6カ月以上13歳未満の
男女360人を対象に、日本製の新型と季節性インフルエンザワクチン6 件を
使用して実施した。
 中間報告によると、6カ月以上3歳未満の乳幼児の場合、WHO推奨用量
(0・25ミリリットル)を接種すると、ワクチンの効果を評価する国際基準
をほぼ満たす結果が出た。3歳から6歳については、現行用量との比較試験も
実施した結果、WHO推奨用量の方が効果が高いことが分かった。

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これに関する最終報告などについては以下が詳細の内容です。
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201100137/47003800_16100EZZ01207_A100_1.pdf
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201100135/20001100_21900AMX00942_A100_1.pdf
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201100138/230774000_16100EZZ01183000_A100_2.pdf
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201100136/630144000_15700EZZ01004_A100_1.pdf


これらは30ページ以上の報告書なので目を通すのは大変ですが、がんばって読んでいくと奇妙な違和感があります。

まず、この臨床試験、対象の数が少ないのです。その理由は↑の報告書の一部に書いてありますが、

・インフルエンザ予防接種というのは毎年決まった季節に多く、まとまった長期の臨床試験を行うのが困難
・ましてや「子供」。対象者を十分な数そろえるのは困難。
・今回は「急いで」いたので数をそろえる暇がなかった

などというのが理由だったようです。


それと決定的に変なのは、比較しているグループが、

第一グループ → 「WHO量の新型ワクチン+季節性ワクチン混合ワクチンを打った子どもたち」
第二グループ → 「WHO量の新型ワクチンのみを打った子どもたち」

の二つを比べているのです。

これ、変ですよね。


「バイクと車とどっちが速いかはっきりさせるため、テストをやってください。」

「はい、分かりました、じゃあ、フェラーリランボルギーニを比べてみました。」

「・・・・・」

「??」

という感じでしょうか。


それで最終的に報告書ではどうなっているかというと

「WHO量でない、これまでの量のワクチンの考察については以前に行われている他の臨床試験のデータを流用して参考してね。」

というふうになっています。


・・・。

これ、ちゃんとした試験と言えるのでしょうか?



自分の印象としての結論を言うと、


「0.5mlに増量して打つことで出る副作用などは今までとさほど変わらないだろう」

というのと

「しかし効果に関してはこれまでの0.3mlとか打っていた場合と大差なかろう(多分効かないだろう)」

というところです。


なぜなら、上で書いてある、「以前に行われている他の臨床試験(廣田氏や神谷氏の調査)」では、今回の試験ほどの有効性を示すような数字が出ていなかったからです(免疫獲得率60、70%程度のことで「効いた」とは言わないと僕は思う)。

また、有効の目安を「抗体価」のみで判定しています。抗体価が高ければ本当に「病気を防ぐ」ことになるのかどうか。そこがはっきりしていないのに数字が4倍になったとかそういうことだけで「有効」と断言するようなやり方は乱暴です。


僕はこれらは、

「製薬会社、儲けたい医療機関(3000円、5000円で打つような)、突き上げられてあわてた厚生労働省

の3者がなんとか体裁を整えようとした結果の帰結だと思っています。


患者さん側に立って考えてみますと、まあでも、今回打つくらいはやむをえず百歩譲って「まあいいんじゃないでしょうか?」と言えるのでしょうが、ただ、やっぱり前にも書きましたが、有効性についての問題は全然クリアされていないようなので、

「高いお金を払うくらいならやめた方がよさそう」

これが結論でしょうね。


それとインフルエンザへの対処ですが、これはもう「風邪」と思って開き直るしかないと思います。ワクチンに全幅の信頼を寄せるなどということほどばかげたことはありません。

風邪なんて「ひくもの」ですよ。そして風邪なんてひいた方がよっぽど抵抗力がつくもんです。

幸いなことにタミフルリレンザ・イナビルなど、インフルエンザだけは治療薬がとっても充実しています。意味不明なワクチンと比べれば雲泥の差でこれらによる治療や予防投薬の方が効果があると思います。

もちろん副作用や効果の差はありますし、対症療法のみで治らない病気でもないですからいろんな対処が他にもあるでしょう。

ファビピラビル(今年か来年出る新薬)などもこれから登場してくるでしょうし、医者としてはワクチンを勧めるくらいならよっぽどそうした治療の方を重視したいところです。


そして僕が一番許せないのはやっぱり、

「暴利をむさぼる医療機関

です。


みなさんもHPなどを調べれば分かります。「ワクチン礼賛」の医療機関は決まって接種料金もばか高く設定しています。もしその医者たちが本当に、「ワクチン接種を徹底したい」という気持ちがあるなら、なぜもっと安くするなりして患者さんが受けやすいような環境を作らないのでしょうか?

そうしないのは「ワクチンの時期はかきいれ時」とばかりにやろうとするからでしょう。

聞いた話だと「ワクチンの売上を職員のボーナスにする」などという不届きなこともあるそうです。でもそれくらいの儲け、今の価格設定なら余裕で出せますものね。


うちの診療所で価格を安く設定するとたまに「苦情」(お前のところ安すぎだろ!とか(^_^;)のような声が他の医療機関側から聞こえてくることがあります(ほっとけ、って感じですよねえ)。

言語道断の話ですがそれが現実です。


さて、このように考えてくると、「インフルエンザワクチンの有効性」というものは字面どおりのものではないことがお分かりいただけたでしょうか。

どこかに「有効だ」としなければ困る人たちが必ずいる、ということです。

その時に割を食うのは何も知らず強欲医師を信じざるを得ない患者さんたちです。

まったく許せないことです。

インフルエンザワクチンの予防接種は効くのか効かないのか。有効か無効か。効果について。

この件を語りだすと非常に長い話になります。

これについて考え出したのもだいぶ前からですし、正しい結論と言えるものがあるわけではありません。

ただかなり確からしく言えることがあり、それは、


「ワクチンを打ってもかかる」

という人が他の水ぼうそう・麻疹・・・などなどのワクチンと比べて圧倒的に多いというのは事実、ということです。


「重症化を防ぐ」とかいろいろ、それでも苦し紛れのようなメリットが厚生省はじめあちこちで強調されていますが、本来この「重症化」というのがいったいどこからが重症であるのかもあいまいなため、よく考えてみるとこの理屈もとっても疑わしいものであると言えるでしょう。

重症のことをインフルエンザ脳症や肺炎などのことを狭く指すのであればそうなのかもしれませんが、それにしてもはっきりと脳症や肺炎を防いでいるという証明は今のところないはずです。

よくワクチンの有効率は「70%」ということをHPなどに書いている医者がいますがこの数字、実は古いらしく、僕も最近知ったのですがこの有効率が年々あまりおもしろくない数字になってきているらしく、「20〜30%」なんてのが現在の数字のようです。ところが、これもデータのとりかたによっては非常に幅のあるものになってしまうし、だからインフルエンザのワクチンに限って言えばこの「有効率」っていうのはあまり信用しない方が良いようです。

それに数字が下がってきたからなのかどうなのか、最近はそういうおもしろくない数字を出してくる厚生省・医療関係者はあんまりいないようです。理由は分かりますけどね。


さて、有効性に疑問符がつけば、次に気にかかるのは「リスク」、ワクチンがもとで何か恐ろしい病気になってしまわないか、こわい副作用が出たりしないか、という点でしょう。

結論から言うと、僕はこのへんはあまり必要以上に恐れることはないのではないかと思っています。しかし小児科の家内(圭子Dr)にそれを言うといつも烈火のごとく怒られます。

大人ではそれほどでないものでも、やはり小さなお子さんということになると違ってくるようです。確かに僕自身が内科の成人の患者さんからワクチンの副作用のことでびっくりするような話をされることはあんまり記憶にありません。ですがとなりの小児科の診察室の方からは、毎年時々ですが熱が出たとかそういった声が聞こえてくることがあります。

事実他のワクチン(インフルエンザ以外)で今年何人もの方が無くなっているニュースはご存知だと思います。

ワクチンでも薬でもそれ相応の危険が常にあります。どの薬でどんな反応が出るかは人それぞれです。そしてごくまれに不幸なことに薬に拒絶反応を示すような患者さんもいらっしゃるのでそういった場合は思いもかけない事態が起こることも想定しないといけません。


ですからワクチンも薬も、そういった不測の事態が起こったとしてもそれでもやっぱり薬が必要だ、という時に限って使うべきだと考えるのです。


そう考えてくると、このインフルエンザの予防接種は本当に皆が言うほど「絶対必要」なのだろうか?というのは常に思います。

医療機関は、ワクチン1ccが業者さんから2000円で買えます。大人には0.5cc、子供は0.1〜0.3cc。これは今年少し変わりましたが、いずれにしても1回予防接種を受けると3000円とか4000円とか医者はぼったくるわけです。このインフルエンザの値段はそれぞれのお医者さんがどんぶり勘定で決めて良いことになっているので別に10000円だ、って言っても良いわけです。

僕はこれには常々苦々しく思っており、この注射が本当に「90%以上の有効率」だとかいうならともかく、2割3割のていたらくの世界であるにも関わらずそれは隠して、値段だけ高く設定して1家族1万円以上のお金を払わせる、というのはどう考えても倫理的に問題があると思うのです。

インフルエンザワクチンの有効性・リスク、それだけを考えるならば注射を受けるべきか否か、簡単にどっちとは言えないのですが、ことこの「ぼったくり」の裏を知ってしまうと、その要素をも含めて総合的に言うと、


「高いお金を払う価値は残念ながらない」


という結論にはなるんだと思うのです。


うちの診療所では接種価格は1000円〜1200円に設定しました。ほとんど儲けなんてない計算になりますが、この真意はどこにあると、みなさんお思いでしょうか。


僕の本音は、

「あんまりこのうさんくさい注射は受けてほしくないなあ・・」

っていうのが一つです。だけど、心配でしょうがない親御さんたちのお気持ちを考えると、上に書いたように有効性・リスクの判断が「微妙・・・」なだけに「絶対打つな」などとは言えませんよね。


だからもう一つ本音として

「どうせ打つならできるだけ経済的負担を少なく打てた方がベター」


と考えるので長年考えた末にこうした「仕方なく打つけど、やるならできる限り安く」というスタンスにたどりついたというわけです。


さて、今年新たな問題が発生しています。

3歳以上のお子さんの接種量が、昨年までの大人と同じ「0.5cc」に増量して設定されました。しかも不親切な医院にかかったりするとそれを「2回打ちましょう」と言われる可能性もあります。

うちの小児科の家内の意見は、昨年2回うっているのであれば今年は1回で良く、量については大きな子供ならともかく幼稚園・保育所のお子さんたちには0.3ccでできれば打ってあげたい、ということのようです。

僕などはこれに関しては「断固0.5cc、反対!」なのですが、だってそうでしょう? 僕は自分の保育所の次男に大人と同じ量なんて絶対打つ気はしないですから・・。

(ちなみにうちでは長年悩んだ末、昨シーズンから家族一同ワクチンは打たないことにしました。それで結局次男が軽い発熱の症状があったくらいで他は特になにも問題ありませんでした。)

まあ、でも家内はWHOや欧米の基準などもやや考慮に入れ、また親御さんの中には「量が少なくて不安」という方も中にはいるかもしれない(あまり好ましくはありませんが)という見地よりそうした考えなのだと思いますが。


最初に書いたように長くなりました。


この話はこの内容を見れば分かるとおり、非常に複雑な問題なので今後も慎重な対応が必要になってくると思われます。みなさんの参考になれば幸いです。

チャンピックス(バレニクリン)で心血管イベントの増加?

チャンピックスというお薬に関しましては当院でも禁煙治療に使っているお薬です。

このお薬に関して「心血管イベントの増加」のおそれ、との報道がありました。

「心血管イベント」とは「心臓病(狭心症心筋梗塞など)」のことで、要するに「心臓病が増加した」ということです。


一言でそう書いてしまうとびっくりするお話です。


今回、米食品医薬品局(FDA)が調べた結果とのことですが、調査の対象となった症例がやや少なめでした。症例数も情報がいくつかあって(最近こういうの多いですよね)「700例について調べた」とか「8200人について調べた」とからしいです。

しかしいずれにしても700とか8200とかいう数字はちょっと少ないのではないかな、と思っています。

だからと言って危険の「可能性」というのは結局「数」ではないと個人的には思ったりもしているので引き続き同様の報告などには注意していないといけません。それだけは確実に言えることです。


また、実際の診療にあたっても今すぐにこのお薬をやめるとかそういうことは考えておりませんし、その必要性も「?」です。


現実的には実際に投与した患者さまのお話を聞きながら判断していくしかないのではないかと思います。


今のところ「心血管イベント」が見られたと思しき患者さまは経験しておりません。絶対数が少ないので何ともいえないところもありますが、禁煙外来自体は非常に重要な治療のひとつですから今後もできる限り継続していく予定です。

鳥インフルエンザって?(今回の新型は「鳥」ではなかった)

鳥インフルエンザというのはよく聞きますが、それは、「A型」インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる「鳥類の」感染症のことです。家禽類のニワトリ・ウズラ・七面鳥等に感染して非常に高い病原性をもたらすと言われています。

このうち「H5N1亜型」ウイルスでは家禽と接触した「人間への感染、発病」が報告されています。



新型インフルエンザ」という言葉をよく以前から耳にしていましたが、この「新型」というのは主に大きく二つの「新型」があることに注意が必要です。

①昨年来日本でも流行った「豚由来」の「豚新型インフルエンザ」

そして

②ずっと前からその「来るべき流行」が非常に恐怖されている「鳥由来」の「鳥新型インフルエンザ」




「新型」という言葉を使ったインフルエンザの話をする時、この二つは「明確に」分けて考えなければ危険です。


今回流行した「豚新型」がそれほど大きな被害にならなかったから、「新型っていってもこんなものか」と考えるのは大きな誤りなのです。